ドランクエスト ダイの大冒険 劇場版(1991)
<blockquote cite=https://www.hulu.jp/watch/100079888>
勇者が魔王を倒し、モンスターが解放されてから15年の時が経過した。
ある日、モンスターたちと唯一の人間・ダイが暮らすデルムリン島に一隻の船が到着する。
その船にはパプニカ王国のレオナとその従者たちがいた。
レオナは神聖な国の儀式を執り行うべく、デルムリン島まで足を運んだのだという。
ダイはそんな彼女を、儀式が執り行われる洞窟まで先導するが、その道中で彼は島の様子がいつもと違うことを察知する。
さらにはモンスターたちがダイとレオナ目掛けて襲ってきて…。
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<a href="https://www.hulu.jp/watch/100079888">hulu「ドランクエスト ダイの大冒険 劇場版」より</a>
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21世紀にリメイク版が放送されているダイの大冒険。<br>
「旧作の方かな?」と思って視聴してみたところ、むしろ旧作よりも前に作られたアニメ版らしい。<br>
というか、原作も連載前の読み切り版とのこと。
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視聴時点ではWikipediaも見てなかったので、第一印象はパラレルワールドみに溢れる作品でした。<br>
オリジナル設定とは明らかに違うけども、完全に違うわけでもない。<br>
初見としては原作の存在を知らなかったのでアニメオリジナルのつもりで視聴。<br>
むしろ連載漫画のシナリオも覚えてないし新アニメも見てないので、どこまで「本編」と共通かもよくわかっておりません。
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デルムリン島にいるモンスターに襲い掛かるレオナ一行に対し<br>
島のモンスターを守るために反撃するダイという構図。<br>
Wikipediaによると読み切り時点で意図的だったようですが、初見で人間の方に非があるように見える描写になっています。<br>
この描写はかなりはっきりと人間側が悪いように描かれていて<br>
最終的にレオナの行動の方が脅威に見えるように演出されていますね。
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レオナの「モンスターが昔どれだけ酷い事をしたか」という言い分に対し<br>
ダイの「この島には悪い奴なんていない」と反論するシーンがあります。<br>
レオナは一見もっともな事を言っているけど、相手を「モンスター」という存在で一括りにしてしまっているので<br>
実は「酷い事をした」かどうかは関係なく、「モンスターだから」という偏見で<br>
相手に攻撃を仕掛けた事になるんですよね。<br>
それに対し、ダイはモンスターが過去に酷い事をしたという事実は否定せず<br>
だけどこの島のモンスターは悪い事をしていないと反論しています。<br>
なんの害もないはずなのに属性だけで相手にネガティブな感情を抱いてしまうのは<br>
誰にでもありがちな行動ではあります。<br>
この作品の中では結構さらっと流されてるシーンだけど、このシーンのレオナに感じる違和感みたいなものは大事だなと。
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30分しかない作品ではありますが、BGMには歴代ドラクエの有名曲が使われていますし<br>
盛り上がりにやや欠けるもののシナリオもきちんと完結しているので、一応のまとまりは感じます。<br>
劇場版だけあって作画も要所要所で安定。<br>
背景とセル画の質感の違いや、セル画を物理的に重ねて撮影している事から<br>
デジタル作画を見慣れた現代となっては、なんとなく立体感的なものを感じるのが逆に新鮮でいいですね。
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人間側、モンスター側、双方の危うさが短い時間で描かれていて<br>
簡単なきっかけで対立してしまう可能性を見せながら<br>
その上で共存する方向に話を進めていくという話を<br>
短時間でシンプルにまとめているのは良かったかなって思います。
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